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くうねるあそぶろぐ
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おおきなおおきなりんごの木(前編)
ある森の真ん中に、木が仲良く二本、寄り添って立っていた。
一つはりんごのなる木で、ひとつはりんごのならない木だった。
森の動物たちは、こぞって、りんごのなる木に集まった。そのりんごのなる木のりんごはとてもおいしいりんごだったから、いつもりんごのなる木は大人気だった。
そのとなりに立っている木には、何の動物もよってこなかった。
わさわさと葉をゆらすばかりで、実は何一つとしてなっていなかった。

りんごのなる木を横目に動物たちは、「この木じゃまだなあ。」だとか、「なんにもならないなんて、意味ないよ。」だとか、「わさわさと葉っぱをゆらす音が、薄気味わるいなあ。」だとか、口々に言いたい放題言った。
動物たちが、夕方になり自分達の寝床に戻る頃、りんごのなる木はいつもりんごのならない木をなぐさめた。
「君にもステキなところは、たくさんあるのに、動物たちは何にも気づいていない。なんて、もったいないことだなあ。」
だったり、
「君のその、葉をゆらす音が、僕はとても好きなんだ。とても、キレイな音楽に聞こえるよ。」
だったり、
「君のそのたくさんの葉は、いつも青々と輝いていて、僕はそこからこぼれる光がキラキラしているのを見るのがとても大好きなんだ。」
と言った。りんごのならない木は、いつも一言だけ「ありがとう」と言った。

ある日、一匹のりすが、りんごのなる木のりんごを採ろうとした。少しだけ、りんごのならない木の枝が邪魔になっていて、採ろうとしたりんごが採れなかった。りすは「じゃまだなあ」と思いきり、りんごのならない木の枝を蹴っ飛ばした。すると、あまりに思い切り蹴飛ばしたもんだから、りんごのならない木の枝が折れてしまった。
りんごのならない木は声にならない涙をながした。悲しかった。その晩、りんごのなる木がいつもと同じようになぐさめてくれたけれども、りんごのなる木の耳には、その声は届かなかった。あまりにも、かなしくて、かなしくて、りんごのならない木はずっとずっと声を殺して泣いていた。

それから、りんごのならない木はあまりの悲しさに、りんごのなる木をうらやましく思うようになった。それまでは、ずっとりんごのなる木が大好きだったのに、うとましくさえ思うようになった。
りんごのならない木がりんごのなる木に嫌な気持ちを抱くたび、りんごのならない木は少しずつ、少しずつ大きくなっていった。どんどん大きくなるものだから、動物達はりんごのならない木をおばけの木と呼ぶようになった。
「今日も大きくなっているぞ。きもちわるいなあ。」
「りんごを採りたいのに、あんまり気持ち悪いから、採りにきたくなくなるよ。」
その声を聞くたびに、りんごのならない木はまた悲しい気持ちになった。りんごのなる木は、やっぱりなぐさめたり、話しかけたりしていたけれども、りんごのならない木にはまったく聞こえていなかった。




後編へつづく
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by joliejolly | 2011-07-11 19:59
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